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こんにちは、ハルショーです。
通常の流れとしては、ビジネスを始めた初期の段階では個人事業主として行い、その後、売り上げが上がってきたりビジネスが軌道に乗ってきたところで、法人化を考えることが多いと思います。
そこで今回は、個人事業と法人どちらでビジネスをするのがお得なのか?そして法人のメリットデメリットについてお話をします。
目次
法人にすることで節税になる?
ある程度の売り上げが上がってきたところで、法人にすることが節税対策になるということは聞いたことがあると思います。
しかし、そもそもどんな仕組みで節税できるのか、具体的な売り上げはどの程度必要なのかなど疑問に思う人が大多数だと思います。
実際には色々と細かい部分がありますが、ここでは分かりやすく、
『所得税』と『法人税』について説明をしていきます。
個人事業の所得税
まずは、個人事業の所得税についてです。
個人事業には『給料』という概念がなく、事業により得た利益がそのまま収入と換算されます。
なので、事業で出た利益全てに所得税が課税されることになります。
ちなみに、所得税率は以下のようなものです。
※参考:国税庁のホームページより
所得が大きくなるごとに、課税率が高くなっていることがわかると思います。
仮に収入が4000万円を越えると、半分近くが所得税として持っていかれる計算になります。
法人の場合の税金について
一方、法人の場合は会社で出た利益を、
『会社の利益』と『役員報酬』
の2つに分けることができます。
そして、この『分けることができる』という部分が重要になってくるので、ぜひ覚えておいてください。
また、役員報酬に関しては、個人事業と同じ所得税がかかり、会社の利益には『法人税』がかかります。
法人税
次に、法人税は利益に対してどの程度取られるのか見ていきます。
・普通法人の場合 ⇒ 一律23.9%
(普通法人は資本金が1億円以上の法人のことを指します。それ以下は「中小法人」と言われます。)
・中小法人で所得が年800万円越えの場合 ⇒ 23.9%
・中小法人で所得が年800万円以下の場合 ⇒ 15%
(普通法人は資本金が1億円以上の法人のことを指します。それ以下は「中小法人」と言われます。)
・中小法人で所得が年800万円越えの場合 ⇒ 23.9%
・中小法人で所得が年800万円以下の場合 ⇒ 15%
となっています。
僕たちの事業規模だと、ほぼ中小法人に当たるので、最大で23.9%課税されることになります。
ですが、法人税はこのほかにも、
・地方法人税
・法人住民税
・法人事業税
などの税金が加算されます。
そしてこれら全てを合算した『実効税率』は、
・所得金額が400万円以下 ⇒ 21.4%
・所得金額が400万円~800万円以下 ⇒ 23.2%
・所得金額が800万円越え ⇒ 34.3%
・所得金額が400万円~800万円以下 ⇒ 23.2%
・所得金額が800万円越え ⇒ 34.3%
となっています。
個人事業から法人にするには所得が700万円を越えてから?
以上の条件から、個人事業と法人でどの程度の違いがあるか見ていきます。
例として、個人事業と法人それぞれで所得が700万円ある状態とします。
※わかりやすいように要点のみに絞って説明をしています。
個人事業で所得が700万円ある場合
個人事業の場合は税率が23%かかるので、
700×23%=161
所得税が161万円かかる計算になります。
法人で所得が700万円ある場合
自分の給料を600万円
会社の利益を100万円
このように設定したとします。
まず所得税は、
600×20%=120
120万円の計算になります。
次に法人税は、
100×21.4%=21.4
21万4千円の計算になります。
合計すると141万4千円
個人事業の場合と比べて、20万円近くの節税になっています。
簡単にわかりやすく説明すると、このような仕組みで法人の方が節税になるわけです。
ここに控除額や経費の要素などがありますが、仕組み的には所得が700万円付近に法人の方が特になるポイントがあることは理解いただけると思います。
法人のメリット
では、所得税以外の部分で法人にするメリットについて考えてみます。
社会的信用
やはり世間的に見ても、個人事業に比べ法人の方が社会的信用があります。
法人と取引する場合など、法人かどうかを重視されることも多いです。
輸入ビジネスの場合、メーカー交渉などでは法人化しているということだけで社会的信用を得られるのは大きなメリットと言えます。
事業資金の融資が受けやすい
これも社会的信用と同じ意味合いになりますが、法人化することで個人事業に比べかなり融資が受けやすくなります。
最悪のケースの際に自分が守られる
個人事業の場合、倒産してしまうと会社以外の個人資産を売り払ってでも債務を返済する義務が生じます。
しかし、法人化していると、あくまでも事業が法人という別物として行なわれているので、個人資産は債務返済の対象になりません。
法人のデメリット
では次に、法人にすることのデメリットについてです。
法人にするにはお金がかかる
株式会社の場合は25万~35万円。
合同会社でも7万円以上の設立費用がかかります。
資金が苦しいときにはこの費用の捻出も大変なところです。
社会保険に強制的に加入
法人である以上、社会保険への加入が求められます。
個人事業で払っている保険料よりも確実に税率が高くなるので、デメリットと言えます。
利益が出ていなくても法人税がかかる
利益が出ていない赤字企業にも法人税はかかります。
厳密には地方法人税と法人住民税なのですが、合わせて7万円払う必要があります。
会計処理が難しい
会計処理が、個人事業の時と比べて難しくなります。
ある程度の知識がないと、自分でやるのは困難なので、税理士さんなどを雇う費用がかかります。
消費税について
法人を考えるのに一番重要な要素として『所得税』だと思います。
そして、次に重要な要素としては『消費税』です。
この消費税ですが、実は、個人事業主になってから2年間は消費税が免除される制度があります。
なので、ビジネスを始めてからすぐに消費税を払う、ということは基本的にはありません。
さらに、法人になってから2年間も、消費税を免除してもらえる制度もあります。
個人事業主 ⇒ 2年間
法人 ⇒ 2年間
合計 ⇒ 4年間
このように最大4年間、消費税を免れることができ、これは非常に大きな節税となります。
このタイミングで法人にするという方も多いです。
まとめ
ここまで、メリットデメリットを含めた法人にすることについて説明をしてきました。
これらを参考にしていただければと思いますが、結局決めるのは自分です。
なので、正解ばかりを求めるのではなく、しっかりと考え、法人にしようという気持ちになったときに法人にすればいいと思います。
その上で、僕なりの意見としては、
『2年個人事業で、その後法人にする』
これが、いいのかなとは思っています。
消費税はやはり大きいので、それを避けるタイミングで法人化するというのはかなり理にかなっています。
ただ、その2年間のうちに所得などが大きいのであれば、早めに法人化したほうが節税になる可能性もあります。
そういうことがない限りは『2年で法人』が基本的な考え方になるはずです。
最後に、個人事業でも法人でも、ビジネスにおいて一番重要なことは、
『ビジネスを成功させるという強い覚悟』
です。
結局のところ、この強い覚悟さえあれば、個人でも法人でもどちらでもいいと僕は思っています。
どんなに効率的な節税をしようとしても、強い覚悟で成長を続ける事業には到底敵いません。
『強い覚悟』を持ちつつ効率的に節税できる。これが最強だと思うので、ぜひここを目指してください!
以上が、個人事業と法人どちらでビジネスをするのがお得なのか?そして法人のメリットデメリットについてのお話になります。